世界中で昆虫の数が激減しつつあるとの記事を見ました。
「へーそうなんだ…でも、昆虫がいなくなっても何か困ることあるかな?むしろ、ウザいハエやガとかがいなくなるのはいいことなんじゃない?」
そう思いながら読んでいくと、どうやらそうでもなさそう。
とても興味深く、皆さんにも知ってもらいたかったのでご紹介しますね!
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世界中で減少する昆虫たち
2019年2月10日、英ガーディアン誌が「急降下する昆虫の数が「自然の崩壊」を脅かす(Plummeting insect numbers ‘threaten collapse of nature’)」という記事を掲載しました。
記事によれば、昆虫たちは、現在の減少率のままいくと、今後1世紀以内に消滅する可能性があるらしいのです。
一体どういうことでしょうか?
現在、世界の昆虫類の40%以上が減少し、3分の1が絶滅危惧種とされています。
昆虫が絶滅する速度は、哺乳類や鳥類、は虫類よりも8倍も速いことが分かっています。
現在、昆虫の総数は年間2.5%の急激な減少率を示しており、1世紀以内にすべて消滅する可能性があるとのこと。
記事の中では、昆虫減少の具体的な事例がいくつか紹介されています。
例えば、スウェーデンでは、自然保護区に600種いたチョウとガが、50年前に比べて4分の1に減少。
また、イギリスでは、340種のガが1968年から2003年にかけて3分の1にまで減少しました。
ヨーロッパ全土で見ると、バッタが2010年までの50年間で66%も減少しました。
トンボも減少していますが、その一例として日本の赤トンボが1990年代の半ば以降、急激に減少していることが紹介されています。
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なぜ昆虫が減少しているのか?
昆虫がここまで減少している理由とは、一体何なのでしょうか?
記事では、近年の農業の大規模集約化、特に農薬の大量使用が、減少の主な要因である、と指摘しています。また、都市化と気候変動も重要な要素になっているとも。
一体どういうことでしょうか?
記事では、シドニー大学のサンチェス・バヨ教授によれば、「通常、農作物の畑は木や草花に取り囲まれているものだが、農業の集約化が進んだことで、これらの草木はすべて取り除かれ、合成肥料と農薬が大量に使用されるようになったことが理由」としています。
この傾向は1950年代から1960年代にかけて始まり、過去20年間で加速しているとのこと。
特に、ネオニコチノイドやフィプロニルといった新しいタイプの殺虫剤が現在は日常的に使用され、しかもそれらは環境中に残留するため特に有害である、とされています。
(筆者注:これらの農薬は環境に与える悪影響から、ネオニコチノイドは2018年から、フィプノイルは2014年からEU域内での使用が禁止。)
私は最近、世界の農業では現在、一部のグローバル資本による大規模集約化が進んでいる、という本を読んだばかりでした。
これらの大企業は農業を巨大産業化します。とにかく大規模化・効率化を目指すため、単一の作物を広大な面積で作付けし、農薬を大量に使用します。
こうした動きが農地を含む自然環境や生態系を破壊しているという現実があるため、この記事は容易に理解することができました。
また、記事では、こうした大規模集約化がまだ進んでいない熱帯地方などでは、気候変動による気温の上昇が昆虫の減少に大きな影響を与えている、と指摘しています。
昆虫の生態系は非常にデリケートなため、わずかな自然環境の変化に適応することができないというのです。
気候変動は人間が引き起こしたと言われていますので、昆虫の減少もまた人間のしわざといわざるを得ないでしょう。
昆虫がいなくなると、どうなるの?
ここまで読んできて、最初は「へーそうなんだ…でも、昆虫がいなくなっても何か困ることあるかな?むしろ、ウザいハエやガとかがいなくなっていいんじゃない?」
と思っていたのですが、記事を読み進めていくうちに、どうやらそうでもないことが分かってきました。
どういうことかといいますと、こういうことです。
昆虫減少がもたらす影響のうちで最も大きなものの一つは、昆虫を食べる多くの鳥や爬虫類、両生類、そして魚たちのエサがなくなることです。
昆虫という食料源がなくなると、これらの動物はすべて餓死してしまうことになる、と記事は指摘しているのです。
記事はまた、世界の科学者たちが、昆虫の喪失は今や深刻な地球規模の問題であると指摘している、と書いています。
イギリス・サセックス大学のデイブ・グールソン教授は「昆虫はあらゆる食物連鎖の中心にあります。植物種の大多数を受粉させ、土壌を健全に保ち、栄養素をリサイクルし、害虫を駆除するなど、人間にとって大きな役割を果たしてくれています。人間は昆虫なしには生き残れません。」と主張しています。
つまり、人間が農作物を育てるだけでなく、この自然界で生きていく上で、昆虫たちは目に見えない重要な役割を果たしていると指摘しているのです。
なるほどですね~
私は、昆虫たちは一見、人間の生活に有害なことしかないじゃん!と思っていました。だって、カは血を吸われるから大嫌いだし、ハエはぶんぶんうるさく飛び回るし、ガにいたってはこの虫の存在意義すら理解できないと思っていました。
でも、言われてみると確かに、こうした小さな昆虫たちは鳥や小動物の貴重なエサになっているよなあと。
そういえば前に、外国のなかでは今でも昆虫が貴重なタンパク源になっていて、昆虫を食する文化があることも、ブログの記事で紹介したことがありました。
この記事を読んで、昆虫の減少は自然界に大きな影響を与え、それがまわりまわって人間の生活に影響を及ぼすということがよく分かりました。
そして、それは人間の身勝手な行動によるものだ、ということも。
昆虫を見る目が変わった、色んなことを考えさせられる記事だったのでした。
まとめ
いかがでしたか?
世界中で昆虫が減少していること、そしてその理由は農業の大規模集約化や農薬使用、気候変動によるもの、昆虫の減少は生態系に影響を与える大きな問題であることをご紹介しました。
昆虫の減少を防ぐために、我々は何ができるでしょうか?
昆虫減少問題は今後も注視していきたいと思います!
とりあえず私が今できることは、私の足にすがって血を吸っているこのカを殺さないことでしょうか(笑)
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