さなぎの繭から絹を作るために飼われる蚕(かいこ)。
かつては多くの農家で飼われていましたが、今はすっかり見かけなくなりました。
この蚕、実は高度に家畜化された昆虫なのですが、その家畜化の度合いが半端ない。
調べれば調べるほど、その昆虫としてのヘタレぶりと、かまってあげたくなる魅力が明らかに!
とても面白かったのでシェアしますね♪
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Contents
蚕(かいこ)とは?
まずは蚕についておさらいです。
カイコ(蚕、蠶)は、チョウやガの仲間。
正式和名はカイコガで、カイコは本来幼虫の名称のことですが、一般的にはこの種全般も指します。
クワ(桑)をエサとし、絹を産生してさなぎのまゆを作ります。
こちらの動画では、蚕の一生の様子をうまくまとめてご紹介しています!
カイコの名前の由来は諸説あるようです。
一つ目は、古代ではカイコは「こ」と呼ばれていたものが、人間がカイコを飼うようになると、「飼うこ(カウコ)」から「カイコ」になったというもの。
もう一つは、古い神話の中では、神様が蚕を生んだので「神蚕(カミコ)」から「カイコ」になったとも言われています。
この他にもカイコの名前の由来については色々な説があります。
また、絹は英語で「silk(シルク)」と呼びますが、シルクの語源は、古代中国の神話に出てくる皇帝の后・西陵氏(Xi Ling-shi)であると言われています。
伝説によれば、西陵氏が庭で繭を作る昆虫を見つけ、養蚕を始めたと言われています。
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蚕と人類の歴史
養蚕の歴史は古く、起源前15世紀頃に中国で始まり、その後日本やヨーロッパなど世界各地に広まっていったと言われています。
カイコの祖先は東アジアに生息する「クワコ」で、中国大陸で家畜化された、というのが有力な説となっています。
クワコは自然界に存在する昆虫ですが、カイコとクワコは近縁ではありますが別種で、カイコとは習性がかなり異なり、夜行性で活発に行動します。
これを飼育して絹糸を取る事は、現代の技術であっても不可能に近いとされ、古代の人々がどのようにしてクワコを飼い慣らして、カイコを誕生させたかは、今でも分かっていないとのことです。
うーん、カイコの歴史は奥深いですね~!
さて、絹の生産が始まったころ、絹織物は大変な貴重品とされ、権力者への献上品や友好国への贈り物として用いられました。
絹織物の美しさは世界中の人々を魅了し、世界中の商人が大変な苦労をしながらも、絹を求めて中国までやってきました。
商人たちが通った道が「シルクロード(絹の道)」と呼ばれるものです。
ちなみに、奈良県の正倉院には、シルクロードを経て日本にもたらされた海外の貴重な品々が多く残っています。
その昔教科書で習ったやつですね、はい。
完全に家畜化されたヘタレ昆虫
さて、カイコは「家蚕(かさん)」とも呼ばれ、家畜化された昆虫で、野生には生息しません(これ意外でした)。
また、カイコは、野生回帰能力を完全に失った唯一の家畜化動物として知られています。
なんと、餌がなくなっても逃げ出さず、体色が目立つ白色であるなど、人間による管理なしでは生育することができないのです。
カイコを野に放っても、ほぼ一昼夜のうちに捕食されるか、地面に落ち、全滅してしまうとのこと。
幼虫は腹脚の把握力が弱いため、樹木に自力で付着し続けることができず、風が吹いたりすると容易に落下してしまいます。
成虫もハネはありますが、体が大きいことや飛ぶのに必要な筋肉が退化しているため、羽ばたくことはできますがほぼ飛べません。
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どうです?蚕のこの何たるヘタレぶり!
人間がそうしたからとはいえ、昆虫がここまで家畜化されるとは、ものすごく意外な気がしませんか?
カイコにまつわるエトセトラ
①カイコを食用に?
蚕のさなぎは、そのままの形、またはさなぎ粉という粉末にして、魚のエサや釣り餌に利用されることがありますが、なんと!実は蚕は戦前は貴重なタンパク質として食用にされてきたのです。
そして、長野県では現在でも、スーパー等で佃煮として売られているそうです。
実際に売られている様子はこちら!
ちなみに、韓国でも蚕のさなぎはよく食べられるそうで、さなぎの佃煮のことを「ポンテギ」と呼びます。
中国でも「蚕蛹(ツァンヨン)」と呼んで、素揚げや煮付け、炒め物などにして食べるとのこと。
その他、ベトナムタイでも地域によっては食用とされています。
そしてなんと!宇宙での食料としての利用も研究されているとか。
蚕は有用な栄養素を多く含み、飼育しやすく、さなぎの段階では内臓に糞が詰まっていないことから、宇宙での食用に向いているという理由なんですって。
粉末状にした上で、クッキーに混ぜて焼くなどの食べ方が研究されているとのこと。
こうして見ると、蚕は世界的には比較的メジャーな食材であると言えそうですね。
私は絶対に食べられる自信がありませんが(泣)
②東京のど真ん中で養蚕が行われている?
実は、皇后陛下の大事なお仕事の一つに養蚕があります。
明治4年、時の皇后陛下が宮中で養蚕を始められて以来、「ご養蚕」は貞明皇后、香淳皇后、そして現在は皇后美智子さまに引き継がれてきました。
皇居の紅葉山にはご養蚕所があり、日本産種のカイコ「小石丸(こいしまる)」が飼育されています。
小石丸から作られた絹糸は、その大半が正倉院事務所に納められ、奈良時代の絹織物「正倉院裂」の復元などに使われているとのことです。
ちなみに、平成天皇は2019年の退位が決まっていることから、ご養蚕の作業は2019年には雅子さまに引き継がれることになります。
③twitterでも話題に
実は、蚕の成虫がかわいい!萌える!モフモフ!と、twitterで話題になっているんです!
こんな感じ。
知らなかった…カイコガが可愛すぎる…そして生態系がもう尊い
基本虫無理だけど、この子たちは平気だ#カイコガ pic.twitter.com/Kla4yDqsKH— K-saku.T (@Kei_T_camera) 2018年4月23日
か・わ・い・い!#ふわふわ#まっしろ#もっちり#あんよ#つぶら#たまらん#シャキーン#キュルーン#カイコガ❤️#蚕蛾❤️🐛🐛🐛🐛🐛 pic.twitter.com/WRx0HbMZDH
— mochimochikaiko (@mochimochikaiko) 2017年9月13日
カイコガやべぇ・・・まじかわええんだけど・・・♥
♯カイコガ
♯だいしてる pic.twitter.com/Mp8LFsvETI— †魔軍師寝娘†@ixa (@kimagureMelu) 2018年5月4日
昨日載せたムービーの雄蚕蛾たん
すんごい可愛い。?(´・ω・`)??
Σ(´◉ω◉`)…ハッ↑↑
胸キュンムービーは、よくスクショしてまいます。🤤カシャ!
カシャ〜〜ッ❣️❣️❣️❣️#カイコガ#ハッ#びっくり pic.twitter.com/1pmPyNj04w
— mochimochikaiko (@mochimochikaiko) 2018年5月10日
まとめ
いかがでしたか?
蚕のヘタレ家畜ぶりや、今まで知っているようで知らない蚕の知られざる魅力をご紹介してきました。
本物の蚕を見たくなってきた~蚕カフェとか流行るかもですね!
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