仏事のつとめ方は宗派によりさまざま。
ここでは、浄土真宗における四十九日法要のつとめ方について、私の経験もふまえながらご紹介したいと思います。
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招待者の範囲を決める
お葬式が終わった後まずやってくるのは、四十九日法要。
没後49日目の満中陰(中隠明け)に営むのが四十九日法要です。
中陰が明けた報告のため、親族や関係者などを招いて会食をします。
四十九日法要の準備に際し、まずやらなければならないのは、招待客の範囲を決めることです。
招待客は、二親頭までの親族の夫婦を招くのが一般的と言われています。
二親頭までの範囲とは、簡単に言うと、故人の父母、兄弟姉妹、子、孫を指します。
ただし必ずそうしなければならないということはなく、故人の生前のつながり等を考慮して決めれば大丈夫です。
お葬式の時に世話役がいた場合はお呼びしてもよいでしょう。
私は、故人の甥・姪やいとこ、友人など、繰上げ法要で招待した方は全員、四十九日法要に招待しました。
誰からも特に文句も出ず、良い法要を営むことができたと思っています。
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日取りを決定する
招待者の範囲が大体決まったら、次にするのは日取りを決めること。
仏教の教え的には、死後49日目に行うのが正しいですが、今の時代は休日でないとなかなか参加できないので、休日の日取りを考慮して決めることが一般的です。
さて、ここで問題となるのが、49日目の前と後ろのどちらに設定するかということ。
よく、49日目よりも早めて行うべきとの考えがありますが、浄土真宗ではそのようには考えませんので、49日目より遅く設定しても何ら問題ありません。
ただし、法要に参加する方全員が浄土真宗の考えに賛同しご納得いただけるとは限らず、私はその説明に労力と手間を割くことを考えると、一般的な考え方に従って49日より早めの休日に設定しました。
日取りを決める過程で、何人かの親戚に「49日より早めにするのが普通だぞ」と言われていましたので、そうしておけば間違いないと考えたのです。
次に、友引にあたってしまう時にどうするかも問題になることが多いです。
浄土真宗は友引に法要を行っても差し支えないと考えます。
友引に法要を行ってもよい理由はこちらに詳しく書きましたので、よろしければご覧ください。
このように浄土真宗は日取りの設定に際しては制約が少ないので、忙しい現代人には非常に助かる宗派といえますね。
(関連記事)浄土真宗の葬儀・法要は友引に行ってもよい?浄土真宗における葬儀の日取りの考え方に迫る
さて、日取り決めで重要なのは、早めに日取りを決めてしまうこと。
理想は2ヶ月以上前に決めてしまうことです。
中でも、お寺のご都合が良いかどうかは最も大事になります。
週末は仏事が集中する傾向がありますので、日取りの候補を決めたら、真っ先に菩提寺のご住職に連絡し、ご都合をお伺いしましょう。
また、主だった親族の都合も直接伺っておくと安心です。
時間的な余裕がないと、案内状の発送ミスや当日の準備の漏れなどにつながり、失敗のもととなりますので、余裕を持って日取りを決めることが大事です。
場所を決定する
四十九日法要の日取りが決まったら、次に場所を決めていきます。
一般的なのは、菩提寺か自宅で行う形です。
流れとしては、住職にお経を読んでもらった後、お墓に移動してそこでもお経を読んでもらう、という流れが一般的です。
納骨がまだの場合は、この時にあわせて納骨も行います。その場合は斎場かホテルで行うという選択肢もあります。
自宅のスペースに限りがある場合もありますし、このような流れを考えると、法要はお寺にて行わせていただくのがよいでしょう。
さて、法要がすんだら、その後はお斎(おとき)といって、法要の参加者全員で食事をいただくのが一般的です。
一般的には法要会食と呼ばれるものです。
お斎の場所については、お寺、自宅、斎場、ホテル、料理店などさまざまです。
お寺以外の場所にするときは、法要会場からの移動のしやすさも考慮する必要があります。
私は、父親の法要の時はお寺の近くのホテルを、母親の時には料理店をお斎の会場に選びました。
最初はお寺にて引き続き行うと楽だと考えていたのですが、住職が独身のお一人の方で、寺は手狭だしあまり手伝えないというお話を住職からいただいたため、無理にお寺を使うことでかえって住職のご迷惑になるのでは、と考えました。
ホテルにせよ料理店にせよ、法要会食のコースを用意しているのが通常なので、あまり悩まずスムーズに進めることができるでしょう。
また、ホテルや斎場、大きめの料理店だと、香典返しも一緒に注文できるサービスがあるところが多いので便利というメリットもあります。
法要会食の内容については、精進料理とするのが一般的です。
精進料理とは、肉や魚など殺生につながる食材を用いず調理される料理のことです。
他宗派では49日法要の後のお斎は精進料理にこだわらないところもありますが、浄土真宗では精進料理とされています。
法要からお斎にいたるスケジュールについては、お斎がちょうどお昼になるよう、法要にかかる時間や法要終了後にお寺から移動に要する時間も考慮して決めるとよいでしょう。
私は、お寺から法要会食会場までの移動が車で15分くらいの場所だったので、49日法要を午前11時から、会食を12時からに設定し、スムーズに進めることができました。
なお、お斎を行わないで終わらせる場合も考えられます。
その場合は折詰(おりづめ)とお酒の小瓶を引き出物と一緒に参列者にお渡しするとよいでしょう。
前日までの準備
1 過去帳へ法名の記入を依頼
四十九日を機に、葬儀の際に仮のものとしてお寺からもらっていた白木の位牌は所属寺に返納し、過去帳または法名帳に故人の法名を記入してもらいます。
併せてお寺からは、故人の法名が書いてある法名軸をいただけます。
過去帳・法名帳は、遅くとも四十九日までにお寺に持ち込み、ご住職に書いていただきます。
すでに先祖の命日を書き込んだ過去帳・法名帳があればそれを使います。
新たに買い求める場合は、仏具店で購入できますし、お寺で用意してくれる場合もあります。購入する場合は台を含めて1~3万円程度です。
なお、四十九日以降の法事では、過去帳・法名帳と法名軸を使います。
ちなみに、浄土真宗では位牌を用いず、法名軸を使います。
法名軸は普段から仏壇に飾っておきます。上段の内側側面に本尊に向けて掛けます。本尊と重ねてはいけません。法名帳・過去帳は本尊をまつる正面を避け、下段の右脇に安置します。
2 案内状の作成
案内状は早めの手配が重要です。遅くとも当日の2ヶ月前までには出すようにしましょう。
参加者が親しい親戚のみであれば電話連絡で済むかもしれませんが、日時や場所の備忘録的な意味もありますので、案内状を出したほうが相手にとっても親切です。
出欠確認もあわせて行えるようにすれば、参加者のとりまとめにも便利です。
カード状の案内状または手紙を封書で送るのが丁寧です。
案内状は自分でパソコンで作成してもよいですし、印刷業者や葬儀会社に作成を依頼してもよいでしょう。
案内状の文例
謹啓 ○○の候 お変わりなくお過ごしのことと存じます
さて 来たる○月○日に
父 ○○ 法名 釈○○
の四十九日法要と納骨式をあわせて営み 終了後○○ホテルにて
粗餐を差し上げたく存じますので ご多用中恐縮でございますが
ご臨席を賜りますよう ご案内申し上げます
記
1、日時 ○月○日(○曜日) 午前○時より
2、場所 ○○寺(○○町○ー○ー○ 電話○○○ー○○○)
なお、お手数ながら同封はがきにて○月○日までに出欠のご返事をいただけますようお願い申し上げます
案内状は縦書き、横書きのどちらでも構いません。
最後の段落は、出欠確認のハガキを同封するほかにも、出欠確認のためおって個別に電話連絡をする旨としても良いと思います。
ちなみに、仏事にまつわる文章を作成するときは、慣例として句読点や丸をつけません。また、行頭を揃えます。
その昔、手紙を毛筆で書いていた時代の名残であるとか、区切りや終わりを連想させないためなどと言われています。
あくまで慣習であり絶対ではありませんが、とかく仏事ではちょっとしたことに文句やいちゃもんがつきやすいもので、無用なエネルギーの浪費を避けるためにも、従っておくことをオススメします。
もちろん、招待者数が決まったら、お斎の会場(ホテルや仕出し業者など)への連絡も忘れずに。
3 石材業者への法名彫刻の依頼
納骨は四十九日法要にあわせて行うのが一般的ですが、火葬当日に行う場合も多いです。
納骨の準備では、まず所属寺や墓園の管理事務所に連絡をします。
また、お墓の納骨堂のふたを開け閉めする必要がありますので、あらかじめ石材業者に連絡をし、立会いを依頼しておきます。
石材業者はお寺か墓園に紹介してもらうこともできます。管理事務所を通じて連絡してもらうこともできます。
墓石や法名碑(故人の数が増えて墓石に刻みきれない場合に、墓石のそばに立てる)への法名や享年などの彫刻も併せて依頼します。
見積もり金額をあらかじめ確認しておき、封筒に入れて準備しておきます。封筒は白封筒を用い、「御礼」または「志」と表書きするとよいでしょう。
法要の当日はとかく慌ただしく、清算を忘れてしまったりすることもありがちなので、代金をあらかじめ封筒に入れておき、さっと渡せるように準備しておくことが重要です。
清算の役目を親戚などにあらかじめ割り振っておくのもよいでしょう。
また、納骨には埋葬許可証が必要です。
埋葬許可証は火葬場で荼毘に付したときにもらえます。
骨壷の箱の中に入っていることが多いので、当日慌てないようにあらかじめ所在を確認しておくことをおすすめします。
4 所属寺に準備物を確認
当日必要になるお供え物や供花、線香などの必要物についても、あらかじめお寺に確認しておきます。
お供え物はくだものや和菓子が一般的です。くだものは旬のものとするとよいでしょう。
供花は法要で使う旨を花屋さんに伝えれば、供花としての一般的な予算を教えてくれ、長さもちょうどよく切り揃えてくれるでしょう。
線香はお経の後の納骨(墓参り)の時に使用します。
なお、当日は早めにお寺に向かい、事前に墓まわりを掃除したり雑草を取ったりすると、気持ちよく納骨や墓参りができると思います。
そのための掃除道具も忘れずに準備するとよいでしょう。
5 香典返しの手配
お葬式で香典や供物をいただいた方に対し、お礼の気持ちとして品物を贈るのが香典返しです。
香典返しは、四十九日法要の当日または直後に送ります。
近年は、お葬式の当日に香典返しの品を渡してしまう「即日返し(当日返し)」が増えています。
香典返しの相場は、香典の金額の3割~5割程度が一般的とされています。大体2,500円~3,000円程度になると思います。
なお、親戚によっては高額の香典をもらうことがあります。
その方との日頃の関係にもよりますが、必ず金額の3~5割のものを返さなくても、他の方と同じ金額の香典返しで十分だと思います。
香典返しの包みには、弔事用の水引きを使用します。
表書きは「志」とするのが一般的です。
その下に「○○(姓)」または「○○家」と書きます。
デパートで頼めば包みは心配ありませんし、表書きやあいさつ状を無料でプリントアウトしてくれるサービスなどもあります。
6 お布施の用意
お布施は四十九日法要に向けて最も大事な準備物の一つです。
金額は3~5万円程度が多いようですが、金額が分からなかったら素直にご住職に相談するのがよいでしょう。
また、納骨をあわせて行う場合は2~5万円を上乗せするとよいと思います。
白い封筒に「御布施」などと表書きします。御布施用の封筒は大きめの文房具店などで販売していますので活用すると便利です。
お布施を住職に渡すタイミングも重要です。こちらも住職に併せて確認しておくとよいでしょう。
本堂でのお経が終わった後のタイミングでご住職に渡すのが一般的ですが、お経の後は納骨や墓参りがあって準備にバタバタし、つい忘れがちになりますので、忘れないようにきちんと渡しましょう。
そして、ご住職に自宅や斎場、墓園などに出向いていただいた場合や、その後のお斎の会場がホテルで行われる場合など、ご住職に交通費がかかるような場合は、車代を別に用意しておきます。
こちらは小さな白封筒に「御車代」とすればよいでしょう。
車代用の封筒も売っていますので利用すると便利です。
当日の進行
一般的には、四十九日法要をお寺の本堂でとり行い、その後墓地へ移動して納骨式を行う、という流れになります。
当日の進行例は以下のとおりです。
必ずしもこのとおり行わなければならないものではありませんが、参考にしてください。
1 施主による開式の挨拶
2 住職による読経(読経中に順次焼香)
3 法話
4 施主による閉式の挨拶(終了後、お布施を渡す)
5 納骨式
6 お斎
お寺へは十分な時間的余裕を持って、参加者よりも早く到着するようにします。
まずは住職のところに出向き、「今日はよろしくお願いします」と挨拶をし、本堂に供えるお花・お供え物・法名軸などの法要に必要な物を渡します。
ここで当日の段取りなども再確認しておくと安心ですね。
また、このタイミングでお墓の清掃もしておくとバッチリです。
本堂での参加者の席順は、故人との関係が深い順に前から座ってもらうのが一般的です。
参加者が親戚同士なら互いに「あなたの方が前に座りなさい」と決め合ってくれると思うので、そこは黙って見守りましょう(笑)
また、参加者のなかには高齢で足腰が悪く、正座をするのが難しい方がいる場合も多いです。
その時は足を崩してもらったり、腰掛けに座ってもらう配慮を忘れずにしましょう。
ただし、この場合は、そのようにしてよいか住職に一言確認しておくと丁寧です。(大抵の場合は断られないと思います。)
1 開式の挨拶
開始時間になったら、施主より開式の挨拶を述べます。
開式挨拶はごく簡単でよいでしょう。参加へのお礼を述べるとともに、住職に振ることが主な目的です。
私はこんな感じで始めました。
「本日はお忙しい中お運びいただき誠にありがとうございます。ただいまより故・○○の四十九日法要を始めさせていただきます。それではご住職よろしくお願いします。」
2 読経
3 法話
その後、住職が読経を行います。
途中、住職から焼香を促されますので、順番に焼香をしていきます。
通常は施主が一番最初に焼香をします。
読経が終わると、住職が法話をされることもあります。この辺りは住職の進め方にお任せします。
4 閉式挨拶
最後に施主が閉式を告げ、当日のその後の予定を案内します。
閉式の挨拶もごく簡単で大丈夫です。
「ご住職、ありがとうございました。
この後は納骨を行いますので、お墓へのご移動をお願いいたします。
また、納骨式の後は○○にてお食事をご用意しておりますので、併せてご案内いたします。」
また、住職にお布施を渡すタイミングは、閉式後、お墓に移動するまでの間のこのタイミングとなります。
このタイミングはとかくバタバタしがちになりますので、忘れないようにしましょう。
私は見事に忘れてしまい、後日お寺にお布施だけ届けにいった苦い過去があります(笑)
それから、本堂に飾っていただいてあるはずの法名軸の回収も忘れずに。私はこれも忘れました(泣)
5 納骨式
納骨を行う場合は墓地へ移動します。
石材業者とのタイミングを合わせたり、何かと慌ただしい時間帯です。
施主は住職や参加者のケアなどもしなければならず忙しいので、石材業者とのやり取りの担当を別に決めておくのも手です。
ちなみに、私の住む地域では、お墓にお参りした後、施主が参列者にまんじゅうを配り、その場で皆で食べるという風習があります。
6 お斎
終了後、お斎の会場へ移動します。
施主は一番早く会場入りし、席次表と引き出物を準備します。
引き出物は椅子に置いておくとスマートです。
ホテルや葬儀場などを会場としている場合は、この辺の準備はすべてやってくれていると思いますので、きちんと段取り通りに準備がなされているかの確認を行います。
会場に到着後、開式の前までに、参加者から香典を頂戴すると思います。
施主は住職のご案内など何かと忙しいので、香典の管理をする人を別に決めておくとスムーズだと思います。
また、参列者の人数や内容によっては、献杯(けんぱい)のご発声をお願いすることもあります。通常は故人との関係が近い人や本家などにお願いします。
法要の際は、乾杯とは言わずに献杯と言います。
開式にあたっては施主から挨拶を述べます。
私はこんな感じでしゃべりました。
「本日はお忙しい中、故人の法要にお越しいただき誠にありがとうございました。おかげさまで良い法要をつとめることができました。改めてお礼申し上げます。本日はお食事をご用意させていただきました。お時間の許す限りごゆっくりお過ごしいただければと存じます。本日は誠にありがとうございました。それでは献杯のご発声を○○様よりお願いいたします。」
席次は、住職は最上座に座っていただき、施主と家族は末席に座ります。
あるいは、施主は住職の隣に座ってもてなし、家族は末席に座る方法もあります。
それ以外の席次は、故人と関係の深い順から上座に座ってもらいます。
お斎の最中は、施主とその家族は積極的に参列者の席をまわり、お酒を注ぐなどのおもてなしを心がけるようにします。
この時、住職が参加されている場合は、一番最初に住職のところに行くようにし、住職のケアを最優先にしましょう。
また、住職は途中で退席されることが多いと思いますが、住職が帰られる時にはお見送りも忘れずにしましょう。
車代を用意している場合はこのタイミングで渡すようにします。
車代はお斎会場からお寺までタクシーでかかる金額を目安に、少し多目の切りの良い金額にしておくとよいと思います。
閉式の時間になったら、施主は会場入口付近に立って、参加者を最後のひとりまでお見送りします。
最後の締めが良ければ、全体の印象も良くなるものです。
この辺りの対応は丁寧にも丁寧を心がけましょう。
以上で四十九日法要は終了です。本当にお疲れ様でした!
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